疎遠になっていた兄弟が急死。親はすでに亡くなっているので自分が遺産を継ぐことに…と思ったら多額の借金が判明!消費者金融から返済の請求が!
たとえ親兄弟とはいえ、資産の状況は詳しく知るすべはありません。しかし、きちんと調べておかないと身に覚えのない負債を背負うことになりかねません。万が一、兄弟に借金が発覚した場合のときに自分の身を守る知識を今から身に着けておきましょう。
たとえ血の繋がった兄弟でも、基本的には借金を肩代わりする必要はありません。故人が闇金などに借金をしていると、親兄弟に返済を迫るケースがあるようですが、そもそも闇金自体が違法ですし、相手にする必要はありません。速やかに警察に通報しましょう。
しかし、以下のようなケースは借金の返済をする義務が生じてきます。
債務者が返済を遅らせたり、返済が滞ったりすると連帯保証人に返済の請求が行くことになります。
理不尽ですが、連帯保証人は債務者と同等の返済義務を背負うことになるのです。
たとえ親兄弟でも連帯保証人になるのは慎重に考えた方がいいでしょう。
法定代理人は未成年がなんらかの理由で借金をするときに必要になります。兄弟が法定代理人になっていた場合は返済の義務が生じてきます。
相続は預金や不動産など財産だけでなく、故人に借金があった場合はその返済義務も同時に相続することになります。相続する財産が借金を上回った場合は問題ありませんが、財産より借金の金額が上回った場合は、法的手続きをとって返済義務が及ばないようにする必要があります。
とはいえ、必ずしも借金の返済義務を相続する必要はありません。返済義務を相続するかしないかは相続する本人が決めていいのです。相続に関する制度は以下のようなものがあります。
借金を返済しても遺産が残る場合は限定承認がいいでしょう。借金が遺産を上回る場合は当然相続放棄を選ぶことになります。
相続を放棄する場合は口頭で「相続を放棄します」と言っても効果はありません。
家庭裁判所にしかるべき書類を提出して手続きしなければ、単純承認したとみなされ、借金の返済義務を負うことになります。
しかも、相続放棄が認められるのは自分に相続の権利があると知った時から3か月以内に手続きしなければ、単純承認が通ってしまいます。
さらに、相続放棄は法定相続人全員が手続きする必要があります。
法定相続人は以下の順位が設定されています。
配偶者と第1順位の相続人が相続放棄すると、第2順位の相続人に借金の返済義務が行くことになります。第2順位の相続人も放棄すると第3順位の相続人に借金返済義務が生じてきます。
つまり、法定相続人になりうる親族全員が一斉に相続放棄の手続きをしなければ親族の誰かの肩に多額の借金がのしかかる可能性があるのです。
親兄弟の死から間もなくは非常につらい時期ではありますが、故人の資産状況は早めに調べる必要があります。
資産と借金の両方があって、どちらの金額が多いのかわからない、という場合は限定承認の手続きをとるのが得策です。
ちなみに、3か月という期限は手続きの完了ではなく、提出期限が3か月という意味です。
遺産のすべてが把握できなくても、とりあえず書類だけは必ず期限内に提出するようにしましょう。