年々膨らむ国の借金…私たち国民への影響は?

毎年「国の借金が膨らんでいる…」というニュースを耳にする方も多いのではないでしょうか。実際、国の借金は毎年膨らみ続けており、2019年の時点では1,105兆円と言われていました。

「そんなに借金があって日本は大丈夫なの?」と思ってしまいますよね。またこの借金によって私たち国民には悪影響はないのか?というところも気になるところです。

そこで今回の記事では、膨らみ続ける日本の借金についてと、国民への影響について紹介していきましょう。

日本が借金をしている相手はどこなのか、借金の返済はできるのかできないのか…などにも触れながら記事にしていきます。

そもそも日本の借金って?いったいどこから借りているの?

国の借金…というと国民全体がどこかから借りているようにもとらえられる表現ですが、国の借金とは「日本政府の借金」のことです。

政府の予算は毎年30兆円を超える赤字続きで、国内や海外の一部からお金を借りている状態になっています。ちなみに2019年の額、1,105兆円を国民の人口で割ると、一人当たり約876万円となります。

毎年借金が膨らみ続けているのに破綻しないの?普通の人がずっと借金をし続けていたら、どこからも借りられなくなるけど、国はなぜ大丈夫なの?と思ってしまいますよね。それは、国が借金をしている相手に関係があります。

「国が借金をしているのは、外国でしょ」と思っている方も多いと思いますが、実は国が借金をしているのはその9割が国内の金融機関なのです。

その内訳は、国内の民間金融機関が約4割、銀行の銀行と呼ばれる中央銀行(日銀)が約5割で、海外から借りているものは1割にもなりません…今の日本の借金は「家庭内で貸し借りをしているような状態である」とも言えます。

つまり、家庭内で息子がお父さんに借金をしているような状態、またはお父さんが妻に借金をしているような状態ということです。

また先ほど「国の借金を総人口で割ると、一人当たり約876万円」と記載しましたが、あれは「政府が国民一人当たりに借りている金額」ということになります。

私たちはとても多くのお金を政府に貸しているのですね。「国にお金を貸した覚えはない!」という方がほとんどだと思いますが、私たちは間接的に国にお金を貸している状態になっています。

国にお金を貸すには「国債」という方法がありますが、国債とは、国が発行する債券のことで国庫債権の略であり「国の借用証書」とも言えます。そして国が資金を集める方法の一つです。

ほとんどの日本国債は国内の証券会社や銀行などが保有していますが、個人向け国債もあり1万円くらいの小額から購入が可能です。

国債は購入して一定期間が経過すると、いくらか利子が付いて返ってきます。お金を貸す相手は国なので破綻するリスクも少ないため一部の投資家などが利用しています。

ですが、一般人の方は国債を買ったことのある方は多くないと思います。私も購入したことはありません。…しかしながら、銀行にお金を預けている方はたくさんいらっしゃると思います。

生まれたばかりの赤ちゃんのための口座から、お年寄りの口座まで…銀行には人口以上の口座があると思います。銀行はお金を預かるのも仕事ですが、お金を貸して利益を得なくては、営業が成り立ちません。

そこで銀行は、国民から預かったたくさんのお金を国に貸し出しています…私たち国民は銀行を通じて間接的に、国にお金を貸し出している状態になっているのです。

膨らみ続ける国の借金によって国民に悪影響は?

「私たちが銀行に預けたお金を、国が利用している…じゃあ、私たちがそのお金を利用したい時に利用できないこともあるんじゃないの?」など不安に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

もちろんそんなことはないので、安心してください。国民が一斉に預金を引き出すようなことでもなければ、自分のお金を利用したい時にできない…というようなことは起こりません。

それでは「国の借金」は私たちにどのような影響があるのでしょうか。…国の借金の話の時、よく引き合いに出されるのが2009年頃に起きた「ギリシャ債務危機」の話題です。

ギリシャ債務危機とは、ギリシャは「人口1,100人のうち100人が公務員と、とても多い公務員に対して手厚い手当てをしていたこと」や、55歳からokという「年金支給開始年齢が早いこと」などが原因で多額の財政赤字に陥っていました。

しかも、年金の割合は現役時代に働いていた給与の79%ととても高い割合の年金受給が可能となっていました。(日本の年金の割合は、約48%ほどとなっています。)

この赤字を支援するため、EU加盟国が経済支援を行った結果、EU全体が経済危機に巻き込まれてしまったという事件です。

先ほども紹介したように、日本の国債は国内で一部は海外で、「全て円で」の購入であるのに対して、ギリシャの国債はその多くが海外で売られていました。

このため、返済するにはドルやユーロに替える必要があり、日本の借金の話とは全く別の話なのでギリシャのようになることはありません。

ですが、借金を減らせるなら減らせた方が良いのも事実です。このまま借金が増え続けてしまうと、国内では以下のような影響が出る可能性もあります。

  • 年金などの受給額が減る
  • 医療費などの社会保障額の負担が増える
  • 公共事業に使う金額が少なくなる


実は借金が多い…ということは、私たちの生活に必要な保障などがその分削られてしまうということでもあります。

生活に必要なもの以上の、例えば「大学の授業料を無料にしてほしい」、「60歳以上の人からは医療費をなくしてほしい」などお年寄りのための費用や、教育のためにかける政府からの援助額が少なくなるということです。

これ以上の借金を増やさないためには、税収を増やして政府の収入を増やすしかありません。税金はこれからも増え続けるかもしれませんが…

それは私たちの子供のためや、また私たちが歳を取った時に必要な財源を確保するためには仕方のないことなのかもしれませんね。

では、国の借金は国の力で返済することはできないのでしょうか?実は、返済は物理的には可能なのです。

国が借金をしているのは、大部分が国内の金融機関や銀行などであり、国債は全て「円」です…なのでどうしても返済しなくてはならない場合、円を自分で発行してしまえば返済が可能です。

しかしながら、実際のところそんなに急に大量の円を発行してしまうと、何が起きるでしょうか?お金が世の中に溢れかえって、インフレが起きてしまう可能性があるのです。

国の借金は政府の借金!私たちが返済する必要はないが…

今回の記事では国の借金についてザックリ紹介してきましたが、いかがでしたか?国の借金は「国民一人当たり…」と言い表されることも多いので誤解を受けやすいのですが…

政府が国内の国民や金融機関から借金をしている金額のことです。私たちがどこかに返済しないといけない金額ではないので、安心しましょう。

しかしながら、国の借金が多いままだと、私たち国民の社会保障料などがその分削られて、年金の受給額が減ったり、公共事業に利用できるお金が少なくなるなどの影響が生まれてしまいます。

借金をこれ増やさないためには、税金を上げて政府の収入源を増やすしかなく、おそらく税金の額はこれからもまだまだ上がっていってしまうでしょう。

ですがこれらの政策は、私たちの将来、老後や未来の子どもたちのためには、必要不可欠で仕方のないことなのかもしれません。

実際のところ、日本の税金は消費税率を世界と比べてみるとそれほど高い方ではなく、消費税率が一番高い国はハンガリーの27%となっています。

その他、スウェーデンやデンマークなどヨーロッパのほとんどの国では消費税率は20%前後の場合が多いのです。

ですが、消費税率が高いからと言って「暮らしにくい」とか「生活できない」と言ったことはなく、消費税率が高い分、福祉にたくさんお金がかけられるので…

例えば大学卒業まで学費がかからない、というようなことや、男性の方が十分な産休を取れる…というようなことも実現できます。

消費税率が上がることを、目先のことを気にして嫌がる方もたくさんいらっしゃいますが、上げた消費税がどのように使われるのか…政府が十分に説明してくれたなら、10%以上の税率になっても私たちは納得し幸せに暮らしていけるのではないでしょうか。