金融会社が審査で確認する信用情報の見方

金融会社ローンやカードローンでは、審査に通らないと融資を受けることはできません。

審査基準も公開はされていないので、必ず融資をしてもらえるかは分かりませんし、もしかしたら以前に金融事故を起こしているかもしれないと思い出せないこともよくあります。

そんな時に活用できるのが、CIC・JICC・KSCの信用情報になります。

実際に審査で使用される情報は、この三つの機関から提供されるものが使われます。なので、この情報を見れば金融事故を起こしているのかだけでも確認することができます。

今回はこの三つの機関が提供している報告書の見方から、書類の中で使われている記号や表記についてを徹底的に解説していきます。

クレジットカードや信販会社の信用情報ならCIC

CICはクレジットカード会社・信販会社・消費者金融・携帯電話会社などの情報を提供している信用情報機関です。

ここでは主に、「クレジット情報」・「申込み情報」・「利用記録」の報告書を見ることができます。

クレジット情報では登録をしている会社ごとに報告書が作成され、契約内容や利用履歴を確認することができます。

申込み情報では実際に契約したものから、申込みをして審査に落ちた金融会社の情報なども載せられています。増額申請をした際にもここに記録がされます。

利用記録では、この報告書を閲覧した本人の記録や、審査の際にどの会社がこの情報を閲覧したのかを記録しています。

記録が保存されている期間

報告書の内容は、以下の期日を過ぎると自動的に削除されます。

報告書内容 登録情報 保有期間
クレジット情報 利用者の氏名・契約内容・毎月の返済・残りの借入額 契約期間中・契約の終了から5年
申込情報 審査のために確認した氏名や契約内容など アクセスしてから6ヶ月
利用記録 審査のために確認した記録、氏名などの確認をした目的 アクセスしてから6ヶ月

契約中の場合は特に何も書かれないのですが、契約が終了した場合や貸し倒れになった場合は日付が書かれます。

この日付から上記の保有期間が計算され、その月の月末に削除されます。なので、遅延や延滞などを繰り返していて信用情報に自信がないのであれば、上記の保有期間の月末が過ぎてから申込みをするのがいいでしょう。

CICで確認しておきたい信用情報

CICの信用情報で金融事故がないか確認をしたいのであれば、以下の三つを確認するのがいいでしょう。

  • お支払の状況の返済状況
  • お支払の状況の終了状況
  • 入金状況

上記についてを一つずつ、解説していきます。

お支払の状況の返済状況

書類の「契約内容」右側にある「お支払いの状況」の中には重要な項目である返済状況についてが記載されています。

この項目に異動と書かれてしまうと、まず審査が通らないと考えておいた方がいいでしょう。

異動は以下のような場合に記載されてしまいます。

  • 返済日から61日以上、3ヶ月以上の遅延や延滞がある
  • 保証会社が代わりに返済をした
  • 裁判所が破産を宣告をしているか、すでに手続きをしている

この情報は5年もすれば消えてしまいますが、その間は金融会社のカードは作れないです。それと、3ヶ月以上の遅延や滞納をしなければいいのかと考える方がいますが、それは違います。

一度でも金融事故を起こしてしまうと審査には高確率で落とされると思っていた方がいいでしょう。

金融取引は信用で成り立っています。

なので、期日にきちんと返済ができない人にお金を貸したいとは思う方はいません。審査に通りたいのであれば、この返済状況に異動と書かれないようにしましょう。

お支払の状況の終了状況

返済状況の下の方に記載されている項目になります。この項目では利用状況に応じて以下の内容で書かれます。

表示 内容
完了 返済が終了して、登録元会社との契約が完了している
本人以外弁済 保証人や保証会社が代わりに支払いをした
貸倒 登録元会社が融資したお金を回収できなかった
移管終了 契約を一本化したか、第三者に譲渡した
法定免責 支払いの免除が、破産などで認められた
空欄 契約を継続している

上記の表では、完了と空欄の場合は正常ですが、他の項目が記載されているときは融資を受けるのは難しいと考えた方がいいでしょう。

入金状況

書類の一番下の項目にあるのが入金状況になります。

こちらは記号により、過去24ヶ月間の返済日にきちんと返済することができているのかが表示されています。

記号の意味は、以下の通りです。

記号 意味
$ 請求通り返済されている
P 請求額が一部しか返済されていない
R 本人以外から入金があった
A 利用者の事情で、返済日に返済できなかった
B 利用者の事情とは無関係で、返済ができなかった
C 返済されておらず、原因が分からない
請求や返済がなかった(クレジットの利用がない)
空欄 登録元会社からの情報の更新がなかった

上記の記号では「A」や「P」があると注意が必要になります。

利用者に直接の原因がある場合だと、遅延や延滞の扱いになってしまうので返済能力がないと判断されてしまいます。

この記録は24ヶ月、つまり2年間は残ることになります。

その期間に上記の記号が連続して続いてしまうと審査には通らなくなります。一つあるだけでも、審査は厳しくなるので期日に請求額通りの返済をするように心掛けましょう。

JICCの三種類の報告書

JICCは主に、信販会社・消費者金融・保証会社を中心に情報提供を行なっており、扱う情報もCICに少し似ています。

ネット銀行を中心に銀行への情報提供も行なっています。

CICと似ていると書きましたが、取り扱っている情報が全て同じかというとそういうわけではありません。JICCにある情報でもCICにはないことがあるのです。

例えばJICCでは延滞していた料金を返済すると一年後に情報は削除されますが、CICでは延滞した情報は5年まで残ります。

このように機関によっては扱っている情報が違うので、CICとJICCは両方の確認をするのがいいでしょう。

それでは、このJICCではまず確認しなければならないのは、以下の書類になります。

  • 信用情報記録開示書ファイルD
  • 信用情報記録開示書ファイルM
  • 照会記録開示書

上記について、一つずつ解説していきます。

信用情報記録開示書ファイルD

ファイルDにはキャッシングやカードローンの借入の際に使う情報が書かれています。

利用者の個人情報から、登録元会社との契約の全てが記録されています。

借入額からや返済残高などの返済履歴から、遅延や破産などの金融事故に関する記録をここで確認することができます。

また、利用者が取引に支障が出る可能性があると思ったことを申告してコメントとして残すことができます。コメントとして残すことで情報を参照する方に現状を伝えることができます。

信用情報記録開示書ファイルM

ファイルMではクレジットカードの利用情報が書かれており、記載されている情報はファイルDと似た情報が書かれています。

違いはクレジットカードの情報が載せてあることです。

ショッピング枠や分割払いなどの、クレジットカードの利用状況や契約内容を確認することができます。

照会記録開示書

登録元会社が審査などで、JICCの信用情報を確認した時の情報が記録されます。

情報の照会した日付や目的、会社名なども記録されるので誰が確認しているのかが分かります。この情報は利用者も確認できますが、登録元会社も確認ができるので、どこの会社に申込みをしているのかも分かってしまいます。

なので、たくさん申込みをしていると返済能力が足りないのではと判断されて審査に落ちやすくなります。

1ヶ月間などの短い期間に複数の申込みをしていると、さらに審査に不利になってしまいます。

この情報は6ヶ月で消去されるので、この保有期間の後に再度の申込みをするのがいいでしょう。

記録が保有されている期間

JICCが提供している信用情報の保有期間は、以下の通りです。

報告書 保有期間
ファイルD 契約期間中・契約の終了から5年
ファイルM 契約期間中・契約の終了から5年(支払遅延情報は、2019年の9月30日以前の遅延解消日から1年)
照会記録開示書 アクセスしてから6ヶ月

JICCでの情報は5年まで残っているものがほとんどです。

支払の遅延が解消したものに関しては2019年の9月30日以前のものは1年残ります。それ以降では契約が終了次第、5年残るようになります。

なので、審査のことを考えるのであれば、記録されてから5年は申込みを見送るのがいいでしょう。

JICCで確認しておきたい情報

JICCがどのような情報を提供しているかを解説してきましたので、ここからは金融事故がどこに記載されているのかをお伝えします。

確認しないといけない情報は、以下の通りです。

  • ファイルD:移動参考情報とサービス
  • ファイルM:支払遅延の有無情報と注意事項

上記について、一つずつ解説していきます。

ファイルD:移動参考情報とサービス内容

公式ページでは「異参サ内容」と表示されており、この情報に事故内容と発生日が記載されていると審査に落とされてしまいます。

記載される内容は、以下の通りです。

表示 内容
延滞・元金延滞・利息延滞 返済予定日から3ヶ月以上、入金がされていない
延滞解消 返済がされて延滞でなくなった
債権回収 登録元会社が強制執行や支払督促などの法的手続きを行なった
債務整理 利用者が契約先に返済金額の減額を申し立てした
破産申立・特定調停・民事再生・その他 それぞれの申し立てを行なった
保証履行 利用者から返済がないので、代わりに保証会社が返済をした
保証契約弁済 利用者から返済がないので、代わりに保証会社が一括で返済した
連帯保証人弁済 連帯保証人が、利用者の代わりに一括で返済をした
カード強制解約 利用者に返済能力がないと判断されて、クレジットカードやカードローンを強制的に解約された

この項目に何も記載がされていなければいいのですが、上記のような内容が記載されている場合は審査に通ることはできないです。

このファイルDの情報は1日単位で更新されてしまうので、常に最新の情報を確認することができます。

ファイルM:支払遅延の有無情報と注意事項

ファイルMでは支払遅延の有無情報では返済状況の情報、注意事項では遅延などの金融事故に関わる法的手続きの情報を確認することができます。

ここも以下の表示がされていると、融資を受けることができなくなります。

支払遅延情報

情報 内容
元本・手数料遅延 返済日から61日以上か3ヶ月以上、支払いが遅れている
遅延解消 返済の遅延が解消された

注意情報

情報 内容
保証履行 保証会社が利用者に代わり返済がされた
代位弁済 保証会社や第三者により一括で返済がされた
強制解約 利用者に返済能力がないと判断されて、強制的に会員資格を解除した
返済条件変更・返済総額変更 契約の条件や返済総額が変更された
延滞後貸倒 返済の督促をしたが、回収できる見込みがないため登録元会社が貸し倒れとして処理した
債権譲渡 登録元会社から債権回収会社などの債権を渡した
債権回収 契約先が強制執行や支払督促などの法的手続きなどを行う
破産申立・特定調停・民事再生・債権回収・その他 それぞれに申し立てをする
支払抗弁中 利用者が支払抗弁中

上記が表示されていると、審査には通らないでしょう。

また、ファイルDの情報とは違い、この情報は月単位で更新が行われます。

なので、情報を確認した時に、情報が記載されていない場合があるので注意してください。

銀行の信用情報ならKSC

KSCでは主に、銀行・信用金庫・農協・労働金庫などの取引情報を記録しています。

記録されている情報はCICやJICCと似ており、契約内容・個人情報・照会情報などが記録されています。

他の情報機関では表示されない、銀行系ローン特有の不渡情報や官報情報なども取り扱っています。

記録が保有されている期間

KSCにおいても、保有期間を過ぎれば情報は消去されます。信用情報の保有期間は以下の通りです。

登録情報 内容 保有期間
取引情報 ローンなどの契約内容や延滞などの返済状況が記録されている 契約が終了してから5年
照会情報 審査や本人が情報を確認して利用した記録が表示されている 利用日から1年
不渡情報 手形や小切手が不渡りになるとここに情報が記載される 1回目の不渡:発生日から6ヶ月
取引停止処分:処分された日から5年
官報情報 破産や民事再生に関する内容がまとめられている 破産手続きが開始されてから10年
本人申告・貸付自粛情報 本人確認の書類を紛失したか盗難にあった場合や、お金の浪費ぐせがあるため自粛したい場合にここに申告することで情報を載せることができる 申告日から5年

上記の保有期間がすぎると、自動で情報は消去されます。

KSCの情報で注目してもらいたいのは破産免責を受けると10年間は消えないということです。

他の情報機関に比べても長く記録をされてしまい、この期間中は銀行などでは融資を受けることはできないです。

保有期間を過ぎれば、また融資を受けることができるようになるので、それまで申込みは見送るようにしましょう。もし、それでも融資を受けたいのであれば、KSCを利用しない金融会社に申込みをするしかありません。

KSCで確認しておきたい情報

KSCで金融事故があるか確認をしたいのであれば、以下の四つの情報をチェックするようにしましょう。

  • 官報情報
  • 不渡情報
  • 取引情報の残債額・入金区分履歴
  • 取引情報の返済区分・延滞解消日・完了区分

上記について、一つずつ解説していきます。

官報情報

破産や民事再生などの処置がされるとここに記録されます。

官報とは政府が国民に知ってもらいたい情報を毎日刊行している公告文書になります。

この情報は10年間は残ってしまい、ここに何か記載がされていると、審査に通ることは難しいと考えたほうがいいでしょう。

不渡情報

法人・個人経営者が確認しておきたいのが不渡情報になります。

小切手や手形が不渡になった場合に、ここに情報が記載されます。

1度目の不渡を出してから6ヶ月以内に2度目の不渡を出してしまうと、取引停止処分となってしまいます。

1度だけでも不渡を出してしまうだけでも、信用はなくなってしまうので融資を受けるのは難しくなるでしょう。

取引情報の残債額・入金区分履歴

数字の下に◯や△などの記号があるのが、取引情報の残債額・入金区分履歴になります。この記号の意味は、以下の通りです。

記号 意味
請求通り返済されたかそれ以上の入金があった
請求した額の一部の返済があった
× 請求した金額が入金されていない
P 事情により、請求した金額が入金できなかった
請求をしていない

上記で気をつけなければならないのが、△と×の記号になります。

これは延滞をしてしまうと表示されてしまうので、この記号があると審査が厳しくなります。

◯が続けばきちんと全額返済することができているということなので、この記号が続くようにしましょう。

取引情報の返済区分・延滞解消日・完了区分

残債額・入金区分履歴の下に記載される情報になります。

返済区分では期日を守って返済を行えば成約と記載され、期日を過ぎても返済がされない場合は「延滞」と表示されてしまいます。

完了区分では以下の表示がされていると、金融事故を起こしている可能性が高いです。

表示 内容
代位弁済・保証履行 保証会社が利用者の代わりに登録元会社に返済をした
強制回収手続 利用者の何らかの事情により、借入額の回収ができないと判断されて取引を解約、もしくは破産した
保証債務未履行 連帯保証人になったが、代位弁済に応じなかった
移管 登録元会社から債権回収会社などに債権を譲渡した

上記に記載されている状況が完了すると、返済区分にその完了した後の情報が記載されます。表示される内容は、以下の通りです。

表示 内容
代位弁済後完済・求償債権完済・保証債務完済 代位弁済・保証履行・保証債務未履行となった後に、情報を登録している登録元会社が利用者が完済した事実を確認できた
代位弁済後移管・求償債権移管・保証債務移管 代位弁済・保証履行・保証債務未履行となった後に、情報を登録している登録元会社が利用者の債権が譲渡された事実を確認できた

入金区分履歴では情報が記載されると審査が厳しくなるだけで、確実に融資を受けられない訳ではありません。ですが、返済区分に関しては延滞と記載されてしまうと審査に落ちる可能性が高くなります。

審査の前には信用情報を確認しておこう

信用情報を記録しているCIC・JICC・KSCでは、重要な情報は共有していますが、記録されている内容がそれぞれ違います。また情報の提供先も消費者金融や銀行などで違いがあります。

なので、でければこの三つの機関の情報は全て確認しておいたほうがいいでしょう。

銀行にローンを申し込むとしても、審査は保証会社となっている消費者金融などで行われるからです。そうなると、銀行だけの情報を確認していても消費者金融に金融事故の記録が残っていて、審査に落とされることもあります。

今回ご紹介した報告書の見方を参考にしてもらえれば、金融事故が起きているかを確認できるので三つの機関の報告書をチェックしましょう。

また、この情報機関の情報は間違っていることもあります。もし、間違いを見つけた時は情報の登録元会社に異議申し立てを行います。

KSCでは直接の異議申し立てに応じてもらえるので、発見したら修正の依頼をして訂正をするようにしましょう。訂正をすることで審査に通る可能性をあげることができます。