借金の連帯保証人になるとろくなことにならない…借金の連帯保証人にだけはなるな…といったような言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
またテレビドラマなどの世界でも、友人の連帯保証人になってしまったばかりにすべてを失ってしまった…といったシチュエーションを見かけることもありますよね。
このように、借金の連帯保証人には良いイメージがありませんが、では実際になぜ連帯保証人になってはいけないのでしょうか?それには大きく2つの理由がありました。
普段から親しくしている人に借金の連帯保証人になってほしいと言われてしまうと困りますよね。
中には断ってしまうと関係が崩れてしまうかもしれない…と弱気になったり、相手の強い押しにまけてしまった…という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、簡単に連帯保証人になることは絶対にしてはいけない事なのです。
まずは、借金の連帯保証人とはいったいどういうものなのかということをしっかりと認識しておきましょう。
借金の連帯保証人とは、お金を借りた人が何らかの理由で返済が出来なくなってしまった場合、その人の代わりに返済をしなくてはいけない人のことです。
たとえそのお金を一切連帯保証人が使用していなくてもです。
お金を借りた本人が返済せず、そのままの状態になると、債権者(お金を貸した側)は、連帯保証人に「お金を返すように」と連絡をします。それを拒否することはできません。
連帯保証人には返済する義務が発生します。
関係ない借金なのになんで…と思うかもしれませんが、それが連帯保証人になるという事なのです。
実は保証人には2つの種類があるってご存知でしたか?
先ほどから何度も登場している「連帯保証人」と「保証人」2種類です。
この2つはどちらも債務者(借金の場合はお金を借りる人)を保証し、万が一返済が滞ってしまった場合、代わりに返済をする義務を負いますが、かかってくる責任や権利が大きく異なります。
まず、知っておいてほしいのは「連帯保証人」のほうが「保証人」よりもはるかに重たい責任を負うということです。
保証人には、以下の権利が与えられています。
つまり、まずはしっかりと債務者本人に返済をさせろ!と債権者に対して要望することができるのです。
この権利、元々借りたのは債務者なんだから当然のことと思いますよね。
もちろん、その後に債務者に請求することはできますが、モメるのは必至でしょう。
また、連帯保証人・保証人が複数人いる場合、保証人は返済額を保証人の人数で割った金額のみを返済すればよいのに対し、連帯保証人は、一人で全額を保証しなくてはいけません。
似たような名称ですが、その責任は大きく異なりますので、十分注意しましょう。
連帯保証人には大きな責任があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
そして、責任だけではなく、多大なリスクも背負うことになるのです。
借金の連帯保証人になっている場合、正直、いつ債権者から請求が来るかどうか予測を立てることは難しいでしょう。
債務者に何度も連絡をし、債務者がどう頑張っても返済が難しい…という状況に陥ってから連帯保証人に連絡をするところもあるでしょうし、数回の連絡で債務者からの返済を諦め連帯保証人に返済を求めるようなところもあるかもしれません。
アナタがもし、借金の連帯保証人になってしまっている場合、まずは、債権者から「債務者が返済をしないので、連帯保証人であるあなたが代わりに返済してくださいね」という連絡が入ります。
連帯保証人であるアナタは、これが正当な請求である限りどんなに理不尽だと思っても拒否することができません。
手持ちのお金で返済ができるならばまだよいのですが、そうではない場合は、車を売ったり、マイホームを売ったりなど財産を手放さなくてはいけなくなってしまうかもしれません。
それでも返済が難しい…となると、最悪の場合自己破産をしなくてはいけない状況にまで陥ってしまう可能性も0ではないのです。
借金をして、返済しないままにしておくと最終的に差し押さえにあう危険があるのは多くの方がご存知ではないでしょうか。
では、連帯保証人の場合は、どうなるのかというと、実は同じように財産の差し押さえにあうリスクがあります。
債権者から、債務者に代わって返済を求められたときに、「自分の借金じゃないから関係ないじゃないか」とそのまま放置してしまいたくなるかもしれません。
しかし、放置していると、どんどんと事態は悪化する一方でしょう。
連帯保証人にはその借金を返済する義務がありますから、放置し続けられると債権者は強制執行への手続きに入るケースもあるのです。
強制執行が認められると、一定額を除いて給与などアナタの財産を差し押さえられることになります。
連帯保証人に対するネガティブなイメージは多くの方が持っていますが、それでも連帯保証人が必要な借金の契約は未だに存在していますし、実際に連帯保証人になってしまい後々苦労するという方もいます。
保証の制度には大きなリスクがあるのは先にご紹介した通りですが、このリスクを少しでも軽減するように民法が一部改正され2020年4月から施行されることになりました。
どのように変わったか大まかにご紹介しましょう。
例えば、家を借りるときに保証人が必要というケースも多いですよね。この時の保証というのは、家賃の保証はもちろんのこと、契約者が何らかの過失をしてしまい賠償しないといけないようなケースでも保証をしなくてはいけない契約となっていることも多いです。
これって、総額でいくらになるのかなんていうのは契約時にはなかなかわからないものですよね。
このような保証の契約方法を根保証契約と言います。
この根保証契約の恐ろしい所は、初めは100万円くらいかなぁと思って保証人を受けたのに、気が付けば1000万円分を請求されるような事態になっていた!というケースも無きにしも非ずというところなのです。
保証する側にとってはかなりリスクがありますよね。実際に予想を超える請求額に支払いが出来なかった…という保証人の方もいらっしゃいます。
このような事態を改善する為、改正された民法では、保証人が支払うべき極度額を明確にしていない個人の根保証契約については無効としました。
債権者と保証人との間で明確に金額を共有する必要があるのです。
テレビドラマなどで多く見られる保証人トラブルのケースが、知人の会社の融資に対して、頼まれて保証人になってしまい、最終的に多大な債務を肩代わりしなくてはいけなくなってしまうような場合です。
作り話の中だけでしょ?と思うかもしれませんが、案外こういったトラブルは少なくありません。
公証人は、保証人になろうとしている人に対して、本当に自分の意志で保証人になるのか、保証の内容はしっかりと把握しているのか、リスクは承知しているのか…など様々な意思確認を行います。
全ての確認が終わり保証人になるという意志がはっきりとしているとなれば、公正証書が作成され、保証の手続きが進むのです。
事業との関わり方によっては意思確認が不要となるケースもありますので、万一ご自分が事業の保証人となる場合はしっかりとチェックしてくださいね。
実はこれまで、ある日突然債権者から「アナタは○○の連帯保証人なんだから支払ってくださいよ!」と支払いの通知が来るというケースもありました。
しかし、突然来るとびっくりしますよね。
これではあまりにも保証人が不利益を被りますよね。
突然の事態や、正確な情報を把握するために、保証人に様々な情報を提供することが義務付けられました。
こちらも提供される情報は保証契約の種類・内容によって異なりますが、今までよりも早く正確な情報を保証人が得ることができるようになっています。
借金の連帯保証人になるのには大きなリスクがあるというのは分かったけれど、もし身近な人に自分には関係の無い借金の連帯保証人を頼まれた場合どうすればよいのでしょうか。
人から頼まれると断りづらい…という方も多いですよね。身近な人であればあるほど、断るのは困難になる気持ちも分かります。
しかし、そもそも、借金の連帯保証人になるというのは、連帯保証人側にとっては何のメリットもありません。
むしろ、全く関係の無い借金の連帯保証人にはデメリットしかないといっても過言ではありません。
そのような状況にアナタを巻き込もうとする人は本当にアナタにとって大切な人なのでしょうか?
そしてアナタのことを大切にしてくれる人なのでしょうか?
また、もしその人が返済できなくなり、こちらが肩代わりをすることになったとして後悔は無いでしょうか?
しっかりとその点を考えてみて、少しでも不安に思うことがあるならば、連帯保証人にはなってはいけません。
たとえ、相手との関係が崩れたとしても断るようにしましょう。
連帯保証人を頼む多くの人が「絶対に迷惑かけないから」といったようなフレーズを使いますが、「迷惑をかけない」と100%言い切ることは本来誰にもできないことです。
もし、連帯保証人になってもいいかな…と思ったら、借金の理由・金額・毎月の返済額・総返済額・返済計画をしっかりと確認しましょう。
相手と共倒れになっても仕方がない…と思えるくらい納得しない限りは、借金の連帯保証人にはならない方が良いのです。
ちょっと友人に頼まれたから安易に連帯保証人になってしまったけれど、なんだか不穏な感じがするのでやめたい…と思った場合、すんなりと辞められるのでしょうか?
実は、連帯保証人をやめるには、債権者の同意が必要となります。
そのため、多くのケースで連帯保証人を辞めるのは容易ではないのです。
これは、連帯保証人と債権者とのはなしですから、債務者が連帯保証人を辞めることについて同意していても関係ありません。
など、債権者に不利益にならない状況を準備出来れば連帯保証人を辞めることができるケースもありますので、どうしても連帯保証人を辞めたいという場合は検討してみてください。
また、強制的に連帯保証人にされた…など、いくつかのケースでは連帯保証人の契約自体を無効にすることができます。
知らない間に連帯保証人になっていたといったような事態に巻き込まれた時は、まずは弁護士などしかるべきところに相談してみましょう。