シニア層向けの住宅を担保にするローン「リバースモーゲージ」とは?

人生100年時代と言われるようになって久しいですが、寿命が延びた分、セカンドライフを充実して過ごしたいと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、生きていくためには何かとお金が必要となります。

退職後の再就職や年金だけではどうしても思うように生活できないという方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方の中で、ご自分名義で住宅をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

住宅をお持ちの方は、住宅を担保にお金を借りることができる「リバースモーゲージ」というローンを検討されても良いかもしれません。

今回、「リバースモーゲージ」について色々と調べてみると様々なメリットとデメリットが分かってきました。

「リバースモーゲージ」は住宅を担保にしたローンです!

「リバースモーゲージ」と聞いてもなかなかどんなローンなのか言葉からイメージするのは難しいですよね。

簡単に言うと住宅を担保にして上限額を設定し、その範囲内でお金を借りることができるローンということになります。

担保となる住宅は最終的に手放すことが前提のローンです!

住宅など不動産を担保にしたローンって多くの銀行や業者が取り扱っていますよね。

一般に不動産担保ローンなどと言われますが、「リバースモーゲージ」とは分けて感がられることが多いです。

不動産担保ローンも、「リバースモーゲージ」も住宅を担保としてローンを組むことには変わりありません。

しかし、いくつか相違点もあるので注意しましょう。もちろん細かい違いは各ローンごとに異なりますので、今回は一般的で大まかな相違点のみ挙げてみます。

リバースモーゲージ 不動産担保ローン
年齢制限 ・シニア層に限定されている ・成人以降であれば比較的若年層でも利用できる
対象となる不動産の種類 ・申込者が住んでいて所有している自宅としていることが多い
・地域や住宅の種類が限定されているケースも多い
・住宅以外の土地や建物でも可能なところが多い
・同意している親族の所有する不動産でも可としているところもある
借入方法 ・各業者によって異なる
(年金タイプのものや一括で受け取るもの、限度額の範囲内で何度でも利用できるものなど)
・一括で必要な金額を借入するタイプのものが多い
返済方法 ・月々の返済は利息のみでOKというところが多く、契約者が死後(または契約終了後)住宅を売却しそのお金で一括返済することが前提
・一括返済出来れば住宅を手放さなくてよい
・借り入れ後、毎月元本と利息を返済していく
・返済ができない時に限り担保の不動産を売却し返済に充てる

不動産担保ローンが不動産を有する広く色々な方に向けたローンに対し、「リバースモーゲージ」は55歳以上などの年齢制限が付いていることが多くシニア層に向けられたローンとなっています。

担保とする不動産についても、許容範囲の広い一般的な不動産担保ローンに比べ、「リバースモーゲージ」は所有者と配偶者だけが住んでいるなど限定されているケースも多いです。子どもが一緒に同居していたら不可というところもあります。

また、業者により取り扱う不動産の地域が限定されていたり、一戸建てはOKでもマンションはNGなどの条件が付いているところもあるので注意が必要です。

借り入れ方法については、「リバースモーゲージ」を提供している業者によって大きく異なります。毎月年金のように自動的に借り入れできるものもありますし、一括で一気に受け取るタイプの物や、設定された限度額の範囲内であれば何度でも借り入れできるものもありあます。

不動産担保ローンも借入方法は様々ですが、一括で借り入れをして後は返済していくというタイプのものが多めです。

そして、最も異なるのが返済方法でしょう。

「リバースモーゲージ」の場合、契約者(連帯債務者がいる場合は連帯債務者も含めて)が死亡したり、契約を終了した場合に、担保としている住宅を売却してそのお金で一括して返済をすることになります。

そのため、毎月の返済は利息分だけでOKというところも多く、月々の負担は多くありません。

どうしても手放したくない!となった場合は、現金で一括返済をすれば住宅はそのまま所有することができるでしょう。

通常の不動産担保ローンの場合、借入したらその後すぐに元本の返済も始まります。毎月の返済額は「リバースモーゲージ」よりも大きな金額となるでしょう。そのかわり、完済すれば不動産を手放す必要はありません。

このように様々な違いがありますので、ご自分が利用したいのが「リバースモーゲージ」なのか、通常の不動産担保ローンなのかはしっかりと決めてから申し込みをしてくださいね。

シニア層のセカンドライフの味方?3つのメリットを知っておこう!

「リバースモーゲージ」は元々シニア層のセカンドライフをより豊かに充実したものとするために提供されている商品です。

そのため、シニア層にとって様々なメリットがあります。

そのうち、特に大きなメリットと言われるのが以下の3点です。

  • 借り入れしている間は自宅に住んだままで問題がない
  • 月々の返済の負担が少ない
  • 限度額の範囲内であれば何度でも借り入れが可能なケースが多い

では、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。

自宅に住んだまま借り入れできるので安心!

お金がない!となった時に、住んでいる住宅を手放すしかないか…と考えることもあるかもしれません。しかし、住宅を手放してしまうと、その後新たに住む場所を探す必要もありますし、引っ越しにもお金がかかりますよね。

「リバースモーゲージ」の利点の1つは、そのまま住み続けることができるという点です。

お金を借りることができるのに住み続けられるというのは、余計な費用も掛からないので安心ではないでしょうか。

月々の返済は利息分のみでOKというところも多く負担が少ない!

「リバースモーゲージ」と他のローンの大きな違いが、毎月の返済についてです。

「リバースモーゲージ」は最終的に住宅を手放してそのお金で返済することを前提としていますので、毎月の返済額はぐっと低く設定されているところが多いです。

そのため、毎月の返済が利息分だけとなっていたり、中には毎月の返済は不要というところもあります。

返済分を取り分けなくても良いのでその分資金を有効活用出るでしょう。

借入方法は多種多様!多くは限度額の範囲内で何度でも利用できる

「リバースモーゲージ」の借入方法は取り扱う業者によって大きく異なります。

ただし共通していることが1つあり、それは、住宅の価値を算定し、その評価額から、限度額を設けているということです。

一括で大きな金額を借りることができるところもありますし、年金のように、毎月一定額を借入するようなところもあります。また、カードローンのように限度額の範囲内であれば何度でも借り入れができるというタイプもあるのです。

お金が必要な状況に合わせたタイプの「リバースモーゲージ」を選べば、シニア層のセカンドライフの大切なパートナーになるのではないでしょうか。

住宅を担保にするローンの3大デメリットも把握しておこう!

シニア層にとって、メリットばかりに思える「リバースモーゲージ」ですが、デメリットもあります。

デメリットもしっかりと理解していないと、大きな金額のローンですから後々後悔してしまうかもしれません。

  • 契約者の死亡後(契約終了後)は一括返済する必要があるので住宅を手放すことになる
  • 金利の上昇などリスクを抱えている
  • 不動産価値は定期的に見直されるため限度額が変更されることもある

これらの3点のデメリットは特にしっかりと認識しておいた方が良いでしょう。

自宅を手放す=相続できないということをしっかりと把握しよう!

「リバースモーゲージ」は、今その家で生活しているシニア層に向けてのローンです。次世代の為のローンではありません。

契約している本人(連帯債務者がいる場合は連帯債務者も含めて)が死亡した場合や、何らかの理由により契約が終了した場合、今まで借り入れしていた分は一括で返済をする必要があります。

契約終了後の分割払いなどは原則認められていません。

「リバースモーゲージ」自体が、その家に住んでいるシニア層が亡くなったらその家を売ってそれで返済するという仕組みのローンですから、前提として、自宅を手放すことになるのです。

ただし、他の資金などで一括で返済出来れば自宅は手放す必要はありません。

自宅に、契約者と配偶者が住んでいる場合は、条件次第では配偶者に引き継ぎ、配偶者が亡くなった時に清算という形がとれるローンもありますので、契約前にしっかりと条件を確認しておきましょう。

変動金利を採用している場合金利上昇のリスクは避けられない

お金を借りるときに、利息を支払う必要がありますが、利息の計算には金利が不可欠です。

金利は、固定金利と変動金利の2種類があります。

固定金利はその名の通り固定された金利なので変更はありませんが、変動金利の場合は、決められた期間ごとに社会情勢などを加味して金利の見直しが行われ、見直された金利がその都度適用されることになるのです。

多くの「リバースモーゲージ」では変動金利が採用されていますので、金利上昇のリスクを避けることはできません。

当然、金利が下がるというプラスの事態になる可能性も否定できませんが、その可能性は決して高くは無く、金利が上がるリスクの方があると言われていますので、その点はしっかりと認識しておきましょう。

不動産価値は年がたつごとに変わります!価値が下がる可能性も…

不動産の価値って永遠ではありませんよね。

急に価格が下落することもありますし、上がることもあります。

「リバースモーゲージ」では限度額として不動産の評価額を出しますが、その評価額は一定期間ごとに見直されます。

見直しにより、評価額が下がると、その分利用限度額も下がることになるのです。寿命が延び長寿となってきている近年では、利用限度額が下がることにより、これ以上借り入れできないという事態に陥ってしまうかもしれません。

例えば年金のように毎月一定額を借入して生活をしていた場合、急にこれ以上借りられないとなると困りますよね。

長生きは悪いことではありませんが、「リバースモーゲージ」を利用するうえではこのようなリスクがあるという点も把握しておきましょう。

「リバースモーゲージ」を利用する際は相続予定者ともよく相談を!

「リバースモーゲージ」については、最終的に住宅を手放すことになりますので、住宅の所有者が亡くなったときの遺産相続に大きな影響を与えることになります。

相続予定者としっかりと話合いをしてから申し込みをしましょう!

自分の住宅なんだから自分がどう扱おうが勝手だろうと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、親族の中には、将来的にその住宅を別の何かに活用したい!と考える方や、たいせつな思い出が詰まっている住宅を手放したくない!と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

自宅が無くなるのは死んだあとのことだから知らない!と突き放さずに、相続の予定者となっている方にはぜひ「リバースモーゲージ」の利用についてしっかりと相談するようにしてください。

親族間で思いが違うままで強行するとその後の付き合い方にも悪い影響を与えてしまうかもしれません。

また、取り扱う業者によっては、相続予定者の同意が必要というケースもあります。しっかりと話し合いを行い、不明な点や不安に思うことがあれば、親族と共に「リバースモーゲージ」を取り扱う業者に質問をしてみましょう。

質問に回答する態度で、その業者の誠意を知ることも出来ますし、親族もしっかりと納得したうえで契約をした方が後々の問題は起こりにくくなるのです。

「リバースモーゲージ」は大切な住宅が担保となるローンです。

いざという時に後悔をしないよう安易な契約は避け、しっかりと計画を立ててから利用するようにしてくださいね。