奨学金を利用して進学することが珍しくない昨今ですが、それにあわせて返還が難しい…返還できずに困っている…という状態に陥ってしまっている方もいらっしゃいます。
奨学金の返還方法は、在学中に決めることも多いため、中々働き出してからの想像も難しく、安易に決定してしまっているかもしれません。しかし、しっかりと検討し返還方法を決めないと、後々の人生に大きな影響を与えてしまうのです。
今回は、代表的な奨学金である独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の返還方法について調べてみました。
JASSOの国内進学者向け奨学金にはいくつかの種類があります。
大きく給付型と貸与型がありますが、今回は返還が必要な貸与型についてみていきましょう。
JASSOの貸与型奨学金の対象となる方は以下のとおりです。
海外へ進学・留学を希望する場合、JASSOでは留学支援なども行っていますので、そちらもチェックしてみてください。
次に貸与型奨学金の種類ですが、こちらも大きく分けると2種類あります。
利用できる奨学金の金額については、自宅・自宅外、学校の種類などによって異なってきます。
また、入学資金が不足していた方に向けて「入学時特別増額」もあります。
ただしこちらは単独での利用はできず、入学前に貸与できるわけではありませんので注意が必要です。
返還方法のうちの一つが「所得連動返還方式」です。
こちらは、平成29年度から新しくはじまった返還方法となります。
平成24年度に創設された「所得連動返還型無利子奨学金」とは異なりますのでご注意ください。
「所得連動返還方式」は、対象者が決まっているので注意が必要です。
対象となる方は以下のとおりです。
第二種奨学金に採用された方については利用することができません。
また、奨学金には「機関保証」と「人的保証」の2種類がありますが、この返還方法を利用する場合は、「機関保証」を選択していることが必須となりますのでご注意ください。
そして、もう一つ条件があり、「所得連動返還方式」を利用するに当たってはマイナンバーの提出も必須となります。
これらの条件がそろわないと「所得連動返還方式」は利用できません。
では「所得連動返還方式」がどういった返還方法か見ていきましょう。
簡単にご紹介すると、前年度の所得にあわせて、毎月の返還額が決定される返還方法です。
つまり、前年度の所得が多いと、返還額も多くなりますし、前年度の所得が少ないと返還額も少なくなります。
ただし、最低返還額が決められていて、毎月の返還額が2,000円を下回ることはありません。
所得によって返還額が変わるので、毎年返還額が変化することになります。そのため、完済までにかかる期間を決めることはできません。
返還額は毎年10月に見直され、毎月の返還額の計算方法は以下のとおりです。
つまり前年度の所得が200万円だとすると、毎月の返還額は15,000円となります。
返還額の決定には所得の把握が必須となりますので、海外で働いているなど所得が把握できない場合は、返還方法が変更されますから注意が必要です。
「所得連動返還方式」は第一種奨学金採用者に限られていましたが、「割賦方法」は、奨学金利用者のどなたでも利用できる返還方法です。
もちろん、第一種奨学金採用者であっても、こちらの返還方法を選択できます。
「割賦方法」の返還方法には2種類あります。
月賦返還は、毎月決まった金額を返還する方法です。返還の金額については、奨学金の貸与金額・返還期間によって異なります。
毎月1万円なら1万円を完済するまで返還するので、返還計画は立てやすいでしょう。ただし、「所得連動返還方式」とは違い、所得が少なくても返還額は変わりませんので注意してくださいね。
月賦・半年賦併用返還は、毎月の定額返還に加えて、半年に1度返還額を上乗せして返還する方法です。
返還の金額については返還金の半分は毎月の返還額、もう半分は半年に1度の上乗せ返還額となります。
この2つの返還方法の違いは、毎月の返還額の違いです。
月賦・半年賦併用返還の方が、毎月の返還額は少なくなります。しかしながら当然、半年に一度大きな金額の返還が待っていますので、ボーナスが確実にあるといった企業に就職しないとなかなか勇気のいる返還方法かもしれませんね。
奨学金の返還はとても長い期間になります。10年以上奨学金を返還しているという方もザラですし、中には20年近く返還し続けている方もいらっしゃるくらいです。
利息もなかったり、あっても他のカードローンよりも低いのですが、やはり長期返還は負担ですよね。
もし、お金に余裕がある時があれば、ぜひ繰り上げ返還にも目を向けてみましょう。
繰り上げ返還は、全額でなくても一部でも対応しています。
繰り上げた分そのまま返還期間が短くなりますし、第二種奨学金の場合は短くなった返還期間分の利息は発生しませんのでよりお得です。
もちろん、生活を圧迫してまで繰り上げ返還をする…というのは良くありませんが、少しゆとりがあるという場合は是非ご検討ください。
返還期間は長くなるので、今まで奨学金の問題なく返還をしてきたけれど、収入が少なくてどうしても返還できない…病気などで職を離れてしまい収入が無くなってしまった…など返還が困難になる時期もあるかもしれません。
そんな時はぜひJASSOに相談してみましょう!
JASSOでは、収入が下がったことにより、奨学金の返還が難しくなった場合に、以下の制度を利用することができます。
こちらの制度はどちらも申し込みが必要で、所得や就労状況などの規定、審査がありますのでまずは相談してみてください。
ただし、こちらの制度を利用するとその分返還期間自体が延びることになりますので、その点はしっかりと把握しておきましょう。
奨学金の返還が困難になったときに、何もせずに滞納をするというのは絶対にやってはいけません。
現在JASSOでは、信用情報機関に登録をしていますので、万一滞納など問題を起こすと、その旨が信用情報機関に登録されてしまうことになります。
また、人的保証をしている方は、保証人の方にも迷惑がかかりますし、機関保証の場合は保証機関から請求が来ることになるのです。
奨学金の返還は、当然行わないといけないことになります。返還されたお金が次の世代の奨学金へと繋がっていくことになりますので、きちんと返還計画を立て、着実に返還していくよう努力することが大切なのです。