ご注意を…奨学金が返せない場合にしてはいけない2つの行動!

奨学金は学生の時にはありがたい制度ですが、返還期間が長く初めはきちんと返還出来ていても何らかの理由で返還が出来ないようなことが起きてしまうかもしれません。

では奨学金を返せない場合どうしたらいいのでしょうか?

今回は、奨学金の中でも最もメジャーな独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)での場合について調べてみました。

そこで分かったのは、奨学金が返せない場合に絶対にやってはいけない2つの行動です。

それは、奨学金を返還するために別の業者からお金を借りるということと、返還できないから仕方がない…などとそのまま連絡もせずに放置をしてしまうことです。

ではなぜこの2つをしてはいけないのかご紹介していきます。

奨学金が返せないからカードローン…はやめましょう!

奨学金が返済できない状況でも、返さないなんてあり得ない!と真面目な方がついやってしまいがちなのが、別の所から借入してその月の返済をしてしまう方法です。

実はこの方法はしてはいけない行動の一つなのです。

ではどうしてしてはいけないのでしょうか?

奨学金の金利を考えると他からの借入は損以外何物でもない!

奨学金の良い所はどんなところだと思いますか?

学生時代に毎月一定額を借りられることですか?返済が就職してからということですか?

様々あるでしょうが、奨学金のメリットの1つとしてよく言われるのが、金利についてです。

JASSOの奨学金は、無利子で借りられるものもありますし、有利子でも金利は通常のカードローンなどに比べても大幅に低く設定されています。

有利子の奨学金の場合、一度決まった利率がずっと適用される利率固定方式と一定期間ごとに利率の見直しが行われる利率見直し方式の2種類ありますが、2019年の時点ではどちらも1.0%よりも低い利率となっています。

また、上限は3.0%と決められていますし、在学中は利率がかかってきませんので安心です。

上限金利3.0%ってとってもお得だと思いませんか?

一般的なカードローンの場合、上限金利は融資額によって異なりますが15.0%~20.0%となっています。

銀行などのカードローンの中には金利が3.0%程度を謳っているところもありますが、実際は限度額によって左右されるためなかなかそこまで低い金利で借り入れすることは難しいのが現実です。

そのため、もともと低い金利の奨学金の返済の為に、高い金利のカードローンなどを利用してしまうと損以外の何物でもないのです。

また、カードローンを借りて奨学金を返済したとしても、カードローンの借入は残りますよね。借金は1円も減っていません。

そう考えると、奨学金の返済の為にカードローンを利用することはその場をしのぐことはできても、結果的に悪手でしかないということがお分かりいただけるのではないでしょうか?

無利息キャンペーンなどをうまく活用するなら損をしない可能性も?!

奨学金の返済にカードローンを利用するのは、利息が高い分損でしかないのですが、ある条件がそろうと、損ではないケースも出てきます。

その条件は以下のとおりです。

  • 今月だけ返済が苦しく30日以内にはカードローンの借入も翌月の奨学金の返済もきちんとできるめどが立っている
  • カードローンを選ぶ時に一定期間無利息になるキャンペーンに適用されるところを選んだ

毎月返済に苦しいのではなく、今月だけイレギュラーで返済が出来ないということもあるかもしれません。

来月には、今月カードローンで借り入れした分も通常の奨学金の返還の分も問題なく返済できる…という状況であるならば、借り入れしても一度きりのことなので、そんなに損をせずに済むでしょう。

また、カードローンの中には、初めて利用する方に向けて一定期間無利息で利用できるキャンペーンを行っているところもあります。

そういったところを利用し、無利息期間中に完済できるのであれば、損をせず、奨学金の返済に充てることも可能です。

こういったサービスを上手に活用できるならば、問題はありませんが、何度も利用できる方法ではないですし、借り入れが癖になってしまうと、結果的に借金が増えてしまうことになりかねませんので利用は慎重にしてくださいね。

どうせ返還できないし…と連絡せず放置は絶対NG!

奨学金を返還していく上で返せない時もあるかもしれません。そんな時に絶対にしてはいけないのは、何もせずそのまま放置することです。

奨学金の返済をせずに放置すると個人信用情報機関に登録されます!

奨学金の返還について、以前は返還が遅れたりしても本人や連帯保証人に請求が来る…と言ったことが起こるだけで、客観的なペナルティーのようなものはありませんでした。

しかし、現在は厳しくなってきており、延滞が続くと個人信用情報機関に登録されてしまう結果となるのです。

個人信用情報機関に登録されるのは、延滞が3か月以上続いた場合になります。

新規で返還を始めた場合は、返還を始めてから6か月がたった時から延滞が3か月以上続けば登録されるようになります。

個人信用情報機関への登録については、同意書に同意をした方のみ対応としていますが、平成21年4月以降から奨学金を受けている方については同意が義務となっていますので、それ以前の方以外はすべて登録される可能性があると認識しておいてくださいね。

平成21年4月以前利用の方については任意で同意書の提出を求められています。

では個人信用情報機関とは一体どんなところなのでしょうか?

  • 個人信用情報機関…
    日本には3つの個人信用情報機関があり、会員は銀行や信販会社、消費者金融など貸金業や信販事業に関係する会社です。

    会員は利用者の個人情報や利用している商品情報、利用状況などを加盟している個人信用情報機関に登録し、個人信用情報機関は登録された情報を保管・管理しています。それぞれの個人信用情報機関はCRINで繋がっている為、相互で情報を開示することも可能です。

登録されている情報は、会員であれば開示することができ、審査の際にチェックしています。

元々はJASSOは加盟していませんでしたが、奨学金の延滞を登録することにより、多重債務へ陥ること防ぐことへの一助となる目的で、延滞した方に限り個人信用情報機関への登録を開始しました。

そのため、通常に返済を続けていれば、奨学金の利用が個人信用情報機関に登録されることはありません。

登録される情報は以下のとおりです。

  • 個人情報(氏名・生年月日・住所・電話番号など)
  • 勤務情報(勤務先の会社名・住所など)
  • 奨学金の貸与額
  • 最終返還日
  • 延滞・代位弁済・完済など返済情報

登録されている情報を見ると、奨学金の返済について何らかの問題が起きているということが分かってしまいます。

では、登録されると何が問題なのでしょうか。

カードローン、住宅ローン、カーローン、クレジットカードなど、ローン商品や信用取引で行われる商品などは、契約の際に審査が行われます。

審査の際に必ずチェックするのが信用情報です。

信用情報をチェックし、問題がないか、融資しても返済がきちんとされるかなどを審査されます。

つまり、信用情報に奨学金の返済に関するネガティブ情報が載っているということは、他のローンの審査に大きな悪影響を与えてしまうということになるのです。

返済ができないからとそのまま放置してしまうと高い確率で個人信用情報機関に登録されることになり、その後の生活に大きな影響を与えてしまうかもしれません。

このような事態にならないためにも、奨学金が返済できない時は、絶対にそのまま放置したりしないようにしましょう。

奨学金が返せない場合は減額返還か返還猶予を利用しよう!

別の所から借入して返済するのもダメ、返済できないからと諦めて放置するのもダメ…となると一体どうしたらいいんだ!と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は、JASSOでは、奨学金の返還が難しい方に向けていくつかの措置を用意しています。

少額なら返還できるという場合は減額返還の申請をしてみましょう

今まで毎月2万円返還していたけれど、転職により収入が下がり2万円は厳しくなってしまった…1万円なら何とかなりそう…という場合は、減額返還の申請をしてみることをオススメします。

減額返還とは、その名の通り、毎月の支払い額を減額して返還を続けることです。

毎月の返還額を減らす代わりに返還期間が延びることになります。総返還額は減額されませんのでご注意ください。

減額の金額については、1/2~1/3となっていて、ご自分で選ぶことができます。期間は最長180か月間で、それを超えると減額返還を利用することはできません。申請は毎年必要です。

また、毎月の返還額が下がり期間が延びたからと言って、支払わなくてはいけない利息が増えることはありません。総返還額は通常の返還と変わりませんのでその点は安心して利用できるでしょう。

どうしても今は返還が難しい…返還猶予制度を利用してみよう!

何らかの理由で退職してしまい収入が全くなく、1円も返還することが難しい…という状況になってしまっている方もいらっしゃるかもしれません。

そのように、返還がどうしても難しい状況になってしまった場合は、返還猶予の制度を利用することを検討してみてはいかがでしょうか。

返還猶予もその名の通り、返還を猶予してもらう…つまり返還を待ってもらう制度のことです。

返還を先延ばしに出来ますので、猶予が適用されている期間は返還しなくてもよくなります。その間に生活を整え、しっかりと収入を得られるようにすることが目的です。

返還猶予の期間は最長10年間となっていますが、申請は毎年必要となります。

こちらも猶予中に利息が発生することは無く、総返還額は変わりませんので安心して利用できます。

減額返還も返還猶予も利用には条件・審査がありますので注意!

減額返還や返還猶予は、毎月奨学金の返還に悩む方にとってはとても助かる制度ですが、いくつか注意も必要です。

まず、前提として、利用するためには条件があります。

例えば収入については、給与所得の方の場合、減額返還で年間325万円以下、返還猶予だと年間300万円以下(どちらも扶養家族がいる場合は条件が異なります)となっていますので、それ以上の収入がある方の場合は収入が低いという理由だけでは利用できません。

条件は、様々ありますので、まずはJASSOのホームページを確認し、ご自分が当てはまるかどうかチェックしてみてくださいね。

また、利用には審査があります。この審査を受ける際に注意してほしい点は、減額返還などを申し込むときに、延滞の状態を解消しておくということです。

既に延滞している状況の場合、減額返還などを受けることはで来ません。

まずは、延滞をしっかりと解消してから申し込みをする必要があるのです。

延滞も、溜まってしまうと大きな金額になりますので、返還が難しいな…と思ったら、できるだけ早く減額返還や返還猶予などの申し込みを検討した方が良いでしょう。

奨学金の返還については支援補助をしている地方・企業もあり!

奨学金の返還については、奨学金利用者が増えている昨今大きな問題となっています。

給与などが厳しくなる中で、奨学金の返還が大きく生活にのしかかり、負担が大きく生活が立ち回らない方も増えているのです。

そのような問題を解決するために、現在は地方や企業でも奨学金の返還に対して支援を行うところが出てきました。

これから就職を考える方に…返還支援補助の有無も基準にしてみよう!

地方では、若者の人材流出に歯止めをかけるために、奨学金に対する返還支援補助事業を行っているところが多数あります。

支援の内容はそれぞれの地方によって異なりますが、ある市では、市が認定する企業に就職し、市内に在住した場合、卒業後2年目から年間最大18万円を奨学金返済の為に支援し、その後3年間補助する(つまり最大54万円)という事業を行っているところもあります。

この条件としては、認定企業に就職することと、市内に住むということです。このような事業を行うことにより、奨学金を得られるような優秀な人材を地元の企業で確保し、人口も増やしていきたいと考えているのです。

また、企業によっては、独自に奨学金の返還補助を行っているところもあります。

福利厚生の一環として、一定期間務めた社員に対し、奨学金返還のための補助金を支給するといったものです。これは新卒者を確保するためというよりも、長く勤めてくれるように促す目的もあるようで、勤続5年~10年くらいで制度が利用できるというパターンもありました。

現在既に長く返還中…という方は対象から外れる可能性が高いですが、これから新卒で就職を考えているという現在奨学金を利用している場合、こういった活動を行う地方や企業に就職をすることで、奨学金の返還がぐっと楽になりますので、ぜひ就職先探しの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?