「質屋」という場所の利用方法をご存知でしょうか。「質屋」と、いう単語は知っていても「どうやって利用するのかよくわからない」という方が多いのではないでしょうか?
今回の記事では質屋の仕組みや利用方法、また利息についても紹介していきます。質屋では、20歳以上で身分証明書のある方なら、どなたでもお金を借りることができます。
カードローンと違うところは「信用情報に振り回されないし審査もないので、質に入れるモノさえあれば例えブラックの方でもお金を借りられる」というところ。
「どこに行ってもカードローン審査に落ちてしまう」…という方には、とても興味深い場所ではないでしょうか?
それでは早速参りましょう。まずは「質屋について全然知らない」…という方もいらっしゃるかと思うので「質屋って何をするところ?」というところから紹介します。
質屋とは、自分の持っている商品を質に入れる…つまり質屋に商品(専門用語では質草、質物などと言います)を預ける代わりに、その商品に見合った額のお金を借りることができる、という場所です。
時代劇でもマル質のマークがあるお店を見たことのある方はいらっしゃるのではないでしょうか。質屋の歴史は古く、その始まりはなんと鎌倉時代頃までさかのぼります。
現代の質屋では、商品を預かってお金を貸すだけではなく、その商品を買い取ったり、また買い取ったものを店頭で売っている店舗も増えています。
審査がない、ということは信用情報に「お金を借りた」という情報が登録されない、ということでもあります。
ローンカードも発行されませんし、自宅に郵送物などが届くこともないので、誰にも知られずにお金を借りられます。
その他、借り入れできる金額は質に入れるモノによるので、カードローンのように「アルバイトだから10万円までしか借りられない」ということはありません。
アルバイトの方でも、質に入れるモノが100万円の価値のあるものなら100万円を借りることも可能です。逆に十分収入のある方でも、質に入れるものの値打ちが低い場合、それ相応の金額しか借りることができません。
またカードローンでは年齢制限が設けてあるのに対し、質屋では年齢制限がないことも特徴の一つです。
カードローンでは大体「満20歳から満65歳(それより上でも70歳くらいまで)」という場合が多いですが、質屋では質に入れるモノさえ用意できれば年齢制限はありません。
つまり例えば90歳の方でも、商品と引き換えにお金を借りることができるのです…また収入がなくても、質に入れるモノがあれば、お金を借りられる!というのもカードローンとの大きな違いと言えます。
最後に、返済ができなくても催促されたり裁判所に訴えられたりということがない、というのもカードローンと大きく異なる点です。
質屋ではお金を借りるために預けた商品は、返済ができない場合そのまま質屋に買い取られます。(専門用語では質流れと言います。)
預けた商品は手元には戻りませんが、その代わり督促状が届いたり裁判所に訴えられたり差し押さえられたり、ということはありません。ここまでをまとめておきましょう。
質屋の特徴…カードローンの利用と大きく異なる点
それでは、質屋でお金を借りるにはどんなものを質に入れれば良いのでしょうか?質に入れる商品には、例えば以下のようなものが挙げられます。
もちろん新品でキレイなものや保存状態が良いものほど高価な値段が付きますが、記念硬貨や旧札などはその時代の発行枚数や状態によってプレミアがついていたりすると、それも値段を左右する要因になります。
質屋でお金を借りるには、まずは店頭に商品を持ち込むところから始めましょう。店舗にはもちろん営業時間があるので、営業時間内に商品を持ち込みます。
商品を預ける際に必要なものは、身分証明書です…身分証明書は、運転免許証やパスポートなどが代表的な書類ですが、保険証や住民票などでも利用できる場合もあります。
商品を預けるとすぐに査定が行われ、いくらまでなら貸し出しが可能であるかという金額を提示してもらえます。
その金額で良ければ、商品を預けて現金と質札を受け取ります。質屋では現金は、即日その場で受け取ることが可能です。
ちなみに「質札」とは、借入をした日や返済期限、借り入れ金額や利息などが記されている書類ですので、取引が終わるまでは大切に保管しましょう。
以上が質屋でお金を借りるまでの流れになっています。ところで、質屋でお金を借りる場合には利息も付くことをご存知でしょうか。
お金を返済すれば、預けた商品は再び手元に戻ってきますが、商品を手元に取り戻すには、借りたお金+利息分を合わせて一括で返済する必要があります。
(店舗のシステムにもよりますが、商品を預けているうちは、1か月ごとまたは3か月ごとに利息のみの支払いで問題ありません。)
それでは質屋の利率はどれくらいなのでしょうか?ここからは質屋の利率や返済期間などについて見ていきましょう。
商品を預けてお金を借りるのが質屋ですが、預けた商品を手元に戻したい場合、返済期限内に借りたお金と利息を合わせた金額を支払わなくてはなりません。
それでは、返済期間はどれくらいあるのでしょうか?…返済期間は原則3ヶ月ほどと決められていますが、長く借りているほど最終的に支払う金額は膨らんでしまうので、早く返済できれば早い方が良いでしょう。
利息は質屋営業法で、上限金利が年利109.5%(月利で9%)と定められていますが、金利の幅が広いため店舗によって様々です。
例えば創業大正5年で五反田、渋谷、池袋に店舗を構える「須賀質店」の利息の計算方法を挙げると、以下のように設定されています。
借入金 | 利息(月利) |
---|---|
10万円未満 | 借入額の2.3% |
10万円以上〜30万円未満 | 借入額の1.8% |
30万円以上〜100万円未満 | 借入額の1.5% |
100万円以上〜 | 借入額の1.2% |
利息は借入をした日から1ヶ月ごとに計算され、金額が大きくなるほど利率は低くなります。日割り計算はありませんので、借りた翌日に返済したとしても1ヶ月分の利息が付きます。
(須賀質店では、15日以内に返済した場合は月利の半額の利息にしてもらえます。)
カードローンの場合は貸金業法に基づいて利率を定めていますが、こちらの上限金利は年率20.0%です。年率に直すと109%にもなる質屋の金利と比べると、とても低いですよね。
ちなみにカードローンで10万円借りた場合は1ヶ月後に返済する金額はどうなるでしょうか。一般的な年率18.0%で計算してみましょう。
無収入の方でも高齢者でもお金を借りられる、信用情報に左右されないなど、多くのメリットもある「質屋」ですが、その金利はとても高いため質屋を利用するにはちょっとした注意も必要です。
利用方法のコツとしては、金利がとても高いので、もし預けた商品を絶対に手元に取り戻したいなら、短期間での利用でなるべく利息が膨らまないように、利用するようにしましょう。
返済期間の3ヶ月を過ぎても、借りたお金を返すことが難しい場合、返済期間を延長することも可能です。返済期間を延長したい場合は利用している質屋にその旨を連絡しましょう。
「利上げ」と言いますが、1ヶ月分の利息を支払えば1ヶ月は店側に商品が渡ってしまうことを防ぐことができます。もちろんその翌月も利上げを続けることも可能です。
ですが「もう利息を支払い続けるのがイヤだ」または「預けた商品を手放しても良い」という場合はそのまま買取をしてもらうことも可能です。
買取をしてもらうメリットには「借りたお金を返さなくても良い」また「利息も支払わなくても良い」というメリットがあります。
カードローンの場合は返済ができなければ、督促状が届いたり差し押さえられてしまったり、また信用情報には事故記録が残り「どこへ行ってもお金が借りられない」という状態になってしまいますよね。
質屋の場合はそのようなことはないので、もしも「預けたものを手放しても良い」「返済できそうにない」という場合は、思い切って商品を手放すというのも、質屋の上手な使い方の一つです。
手放した商品は「質流れ」と言って、店舗のものになります。その後商品はオークションなどにかけられたり、店頭で販売されたりします。自分で買い戻さない限りは手元に戻ることはありません。
今回の記事では、質屋の利息について紹介してきましたがいかがでしたか?質屋の利息は年率に換算すると109%以上にもなり、カードローンの上限金利である20.0%と比べるととても高い金利になっています。
このため、質屋を利用するなら短期間で返済できるように利用しましょう。または「手放しても良い」という商品を持ち込んで、最初から手放す予定で質に入れるという利用方法もあります。
ですが「もっと査定額を上げたい、なるべくたくさん借りたい」という場合は、質入れではなく買取をしてもらう方が高い金額になることもあります。
質に入れる場合と、買取の場合、どちらの金額も提示してくれる質屋もありますので「どちらにするか迷っている」という場合はどちらの金額も聞いてみるのも良いかもしれません。
あなたが持ち込む商品をどうしたいのか、によって質入れか買取かを使い分けて利用してみると良いでしょう。
しかし、「返済ができなそう」という場合は思い切って手放すという手もあります。商品を手放せば、返済の支払いも無くなりますし利息もチャラになります。
お金を借りても信用情報には記録が残らない質屋…あなたも機会があれば一度利用してみてはいかがでしょうか。
最後に悪徳な質屋があるということもちょっと紹介しておきましょう。質屋にも「闇金」のような店舗(偽装質屋と言います)が存在しますので、信用できる店舗を利用するようにしてください。
その他、自宅に押しかけてきて、値打ちのあるものを強制的に安く買い取ろうとする「押し買い」や、執拗な取り立てを行うなどの行為を行う質屋は偽装質屋の可能性があります。
もしもこのような状態になってしまった場合は、弁護士や消費生活センターに相談し、早めに問題解決できるよう対策を立てましょう。
質屋を利用する場合は、街で見かけてふらっと…という利用はせずに、商品を持ち込む前にその質屋のホームページなどでよく調べてから利用するようしてくださいね。