年金受給者になると高齢の方も多いので、意外なところでお金がかかってしまうことがあります。医療費・介護費・家の修繕・生活用品の補充にもお金がかかってくるので、年金だけでは生活が苦しくなる方も多いのが現状です。
ですが銀行カードローンや消費者金融でも、借入を考えると年金とは別の収入が必要になるので借入をすることができずに安易に生活保護に頼ってしまうこともあるでしょう。
ですが、生活保護に頼る前に利用してもらいたい制度があります。それは「年金担保貸付制度」です。
この制度は年金受給者の方でも利用することができ、銀行カードローンよりも金利を安く利用することができます。利息により、生活が苦しくなることも少ないです。
今回はこの年金担保貸付制度についてのメリットから、借入までの流れを注意点を踏まえて徹底的にご紹介していきます。
国民年金や厚生年金保険などの年金を担保にすることで、ローンを組むことができるのが年金担保貸付制度です。
年金受給者がお金を借りる場合は他に収入がないと借りられないと思われがちです。しかし、この制度は国が認めた制度であり、年金受給者でも条件を満たしていれば融資を受けることができます。
他にも年金担保貸付制度には様々なメリットがあり、それは以下の通りです。
上記について、一つずつご紹介していきます。
年金担保貸付制度の金利は年2.8%とであり、融資を受ける条件が厳しい住宅ローンと同じくらいの低金利で利用することができます。
消費者金融のカードローンでの金利はだいたい年4.0%〜18.0%、銀行カードローンでさえも年3.0%〜14.0%に設定されており、最初の借入では高金利が適用されます。
なので、年金担保貸付制度では銀行や消費者金融よりも低金利でお得に利用することができます。
貸し付ける側も国から確実に支給される年金を担保にすることで、確実に融資した金額を回収することができます。なので、低金利での融資をすることができるのです。
年金担保貸付制度では医療費から生活必需品にも利用することができますが、他にも住宅の改修費から冠婚葬祭など広範囲での利用をすることができます。
利用用途は以下の通りです。
利用用途 | 用途例 | 保険・医療費 | 入院・通院・手術・医療用器具の購入・通院に使う自動車の購入や維持費 |
---|---|
介護・福祉 | 介護施設利用・介護器具の購入費 |
住宅改修 | リフォーム・土地購入・引っ越し費用 |
教育 | 入学費用・毎月かかる授業料以外・受験費・資格取得費 |
冠婚葬祭 | 冠婚葬祭費・墓石購入 |
事業維持 | 運転資金・事業所の内装工事・事業用設備の購入・事業に関する訴訟費用 |
生活必需品の購入 | 自動車・家電・家具の購入 |
上記の利用用途を見てもわかる通り、かなり自由に利用することができます。
もし、他の利用用途で使用したいと考えているなら、まずは福祉医療機構年金貸付課に相談するのがいいでしょう。
電話番号:03-3438-0224にて電話で相談をすることができます。
また、ギャンブルや公序良俗に反することや、旅行などでは利用することができません。
申し込む際には見積書や請求書の提出が必要なので、医療費に使うなど嘘をついて融資を受けることはできないので注意しましょう。
債務の一括整理にも年金担保貸付制度は利用することができるので、他社のカードローンなどをおまとめローンとして借入を一つにまとめることができます。
他の金融会社よりも低金利なので、まとめることで利息を安くお得に返済をできるようになります。また、返済を一つにまとめることで、毎月の返済回数や返済日を一つにすることできるので楽に返済ができます。
その他にも滞納している家賃・光熱費・税金の支払いにも使うことができるので、支払いが上手くいっていないのなら検討してみて損はないでしょう。
年金担保貸付制度では年金を担保にしているので、自分で返済をしなくても口座に入金される前に天引きするので返済の手間がありません。
そのため、他の金融会社のローンではATMでの返済や銀行口座に入金をする手間がありますが、年金担保貸付制度では面倒な手間を感じる必要はないのです。
年金担保貸付制度を利用する流れは、以下の通りです。
1金融機関、福祉医療機関で事前相談
2金融機関で申込み
3審査
4融資決定、電話連絡
5融資実行
福祉医療機関では相談をすることはできますが申込みをすることはできません。
申込みは「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示している金融機関で行います。
代理店となっている都市銀行や地方銀行などで申込みはできますが、ゆうちょ銀行・農協・ろうきんでは取り扱っていないので注意してください。
年金担保貸付制度を利用できる方の条件は以下の通りです。
上記の全ての条件を満たしていないと利用することはできません。
また、利用する時には必ず連帯保証人を立てる必要があります。
連帯保証人の条件は以下の通りです。
上記の条件を満たしていること以外にも、収入が少なすぎると審査に落とされてしまう場合がありますので注意してください。
申込みをする方の中には、どうしても身内には借金していることを知られたくないという方や親戚に負担をかけたくないと思う方もいます。
その場合でも、年金融資福祉サービス協会で行なっている信用保証制度を使うことで代わりの連帯保証人を立てることができます。
ですが、この制度を利用するには保証料を別で支払う必要があります。
保証料は貸付利率・貸付金額・返済額により変わってきます。例として以下に保証料を計算した金額をまとめたので参考にしてください。
借入金額 | 保証料 | 計算条件 |
---|---|---|
70万 | 2万3,700円 | 貸付利率2.8% 一回の返済額5万円 保証料率21円(対1万円、月額) |
上記の金額は条件によって変わりますので、制度を利用する金融機関にて計算をして確認をするようにしましょう。
また、この保証制度を利用するには必ず申込者本人が窓口にて手続きをしなくてはならないので注意してください。
年金担保貸付制度を利用するには以下の書類が必要になります。
2.現在の年金支給額を証明する書類
国民年金・厚生年金保険
(年金振込通知書・年金決定通知書・国民年金の支払いに関する通知書・年金支払通知書・年金額改定通知書・年金決定通知書、支給額変更通知書・年金送金通知書など)
労働者災害補償保険
(年金等振込通知書または年金等送金通知書・支給決定通知書・変更決定通知書・スライド等による変更決定通知書)
3.実印か印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
4.本人確認書類
(運転免許証・身体障害手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳・外国人登録証明書、在留カード、特別永住者証明書・パスポート・住民基本台帳カード)
5.資金用途の金額が確認できる資料(請求書・領収書・見積書・カタログ・パンフレットなど)
6.連帯保証人の書類
連帯保証人を立てる場合
信用保証制度を利用する場合は書類は必要ありません。
年金担保貸付制度の申込みは年金受取口座を作っている金融機関で行いますが、ゆうちょ銀行・農協・ろうきんで作っている場合は申込みができないので、受取口座を変更する必要があります。
変更届に「特立行政法人福祉医療機構代理店」になっている金融機関を記入して、近くの年金事務所か「街角の年金相談センター」に提出することで変更することができます。
日本年金機構よりWEBでダウンロードか電話をすることで変更届を送ってもらえます。年金事務所にも変更届では置いてあるので、直接取りに行くのもいいでしょう。
こちらも手続きには1ヶ月ほどと時間がかかることがあるので、早めに手続きをするようにしましょう。
年金担保貸付制度では国が支給する年金が担保になっているので、他の金融機関のよりも審査される項目が少なくなります。
審査に落とされてしまうのは利用用途に問題がある場合か、生活保護を受けてしまっている場合が多いです。
必ず申込み前に利用用途は問題がないか事前に相談をしておき、生活保護を受けていないか確認をするようにしましょう。
審査のハードルは低いのですが、融資までに時間がかかってしまいます。
公式サイトにも4〜5週間はかかってしまうと明記されており、どんなにスムーズに手続きをしても、1ヶ月ほどは時間がかかると思っていた方がいいでしょう。
審査結果と融資実行日については、2〜3日前に電話で連絡が入り、その後自動で指定されている口座に振り込まれます。
年金担保貸付制度では一回あたりの返済額の下限を1万円まで、上限を支給額分の3分の1までとしています。
これをだいたい2年6ヶ月以内に返済できるように設定をするのです。
返済が始まるのは融資実行日から翌々月の偶数日となっています。
1月に融資が始まった場合は翌々月は3月になるのでその次の月の4月から返済が始まります。
毎月の返済額も相談をすれば減らすことができるので、急な出費で生活が苦しくなった場合でも安心して生活することができます。
年金担保貸付制度での返済では、年金から天引きするので利用者は返済に手間がかかることはありません。
年金が支給される前に独立行政法人福祉医療機構から毎月の返済額を天引きして、天引きされた金額が指定口座に支給されます。
なので、支給される額が思っていたよりも少なく、その月の生活が厳しくなってしまったということがないようにしましょう。
事前に相談をしておけば毎月の返済額を減らすこともできるので、無理のないように設定するようにしましょう。
もし、返済中に利用者が死んでしまった場合は、連帯保証人を立てている場合は返済は連帯保証人がすることになります。
連帯保証人を立てずに信用保証制度を利用して融資を受けた場合は、年金融資福祉サービスが返済を行うので実質返済額は0円になります。
もし、身内や親戚に負担をかけたくないのであれば、保証料がついてしまいますが保証制度の利用を検討してもいいのではないでしょうか。
もし、年金以外にも安定した収入がある場合は、消費者金融でも借入をすることができます。ですが消費者金融は金利が高いので、利息が高くつき返済が厳しくなってしまう場合があります。
なので、即日に借りたい場合や、必要な資金が少なく30日以内に全額返済ができる場合などの理由がないならまずは年金担保貸付制度を利用するのがいいでしょう。
消費者金融での申込み条件には年齢制限も設けられており70歳以上の方は利用できないことが多いです。また、金利に関して最高金利が適用されるので注意してください。
限度額 | 800万円 |
---|---|
金利 | 3.0〜18.0% |
特徴 | 即日融資対応・30日間無利息 |
年金受給者でも満70歳までなら借入をすることができるローンになります。
限度額が高めに設定されていますが、あまり高額の借入はしないようにしましょう。
限度額 | 500万円 |
---|---|
金利 | 4.5〜17.8% |
特徴 | 即日融資対応・30日間無利息 |
限度額が他の消費者金融よりも少ないですが、最高金利が低く即日融資に強いカードローンとなっています。
プロミスの30日間の無利息期間は、利用開始の翌日から適用されるのでゆとりを持って借入をすることができます。
限度額 | 500万円 |
---|---|
金利 | 4.5〜18.0% |
特徴 | 即日融資対応・60日間無利息 |
レイクALSAのメリットは60日間の無利息サービスになります。他の消費者金融よりも無利息期間が長いので余裕を持って返済をすることができます。
即日融資にも対応しているので、比較的に使いやすいカードローンになります。
ですが、返済方法や返済期間は変わらないので安心してください。もちろん令和4年までに完済できなくても問題ありません。繰上げ返済をさせるということもありません。
それと令和4年以降でも年金担保貸付制度の代わりになる制度を、政府が用意してあるので今後の生活が不安になっている方もその必要はないのです。
政府が用意している方法は以下の制度になります。
上記について一つずつご紹介していきます。
生活福祉資金貸付制度は65歳以上の高齢者や低所得者が融資を受けることができる制度になります。
この制度の利用にはまずは住んでいる地域の自立相談支援機構で相談をする必要があります。そして状況に合わせて社会福祉協議会にて手続きをする流れになります。
生活福祉資金貸付制度では4つの種類に別れており、福祉資金であれば年金担保貸付制度と同じ利用用途で借入をすることができます。
さらに福祉資金では福祉費と緊急小口資金に分かれています。
福祉資金 | 限度額 | 金利 |
---|---|---|
福祉費 | 580万円以内 | 連帯保証人あり:無 連帯保証人なし:年1.5% |
緊急小口資金 | 10万円以内 | 連帯保証人不要:無 |
生活福祉資金貸付制度の一番のメリットは連帯保証人がいれば金利が無くなることです。
連帯保証人がいなくても金利は年1.5%となっているのでどこよりも低金利で利用することができるのです。
また、緊急ですぐにでも借りたいのなら緊急小口資金であれば、1週間近くで借入をすることができます。限度額は少ない金額なので、本当に緊急の時に利用するようにしましょう。
もし、どこの制度を利用しても生活が苦しいのであれば、生活保護を受けるようにしましょう。
生活保護は生活が苦しい方の現在の収入に応じて、厚生労働省が定めている最低生活費を比べて差し引いた金額が支給されます。
年金をもらっていない方や、支給額が少ない場合は高齢者でも生活保護を受けることができます。
ですが、生活保護を受けてしまうと年金担保貸付制度や生活福祉資金貸付制度は利用することができなくなります。
必ず先にどちらかを利用して、それでも生活が苦しい場合に生活保護の利用を検討してみてください。
収入源が年金だけの場合でも年金担保貸付制度を利用することで、低金利で融資を受けることができます。
なので、もし生活が苦しくなっても安易に消費者金融などの金利の高いカードローンなどの利用はしないでください。
高金利のローンを組んでしまうと、最初は生活が楽になりますが返済額はあまり減らないのでどんどん生活は厳しいものになってしまいます。
年金担保貸付制度のデメリットとしては返済額分の年金が受け取れないので、その金額分を考えて生活をする必要があることです。
もし、この制度が利用できなくなっても、他にも生活福祉資金貸付制度などでも融資を受けられる可能性があるので安易に生活保護は受けない方がいいでしょう。
必ず年金担保貸付制度と生活福祉資金貸付制度で審査を行ってから他の方法を検討してみてください。