債務整理は自己破産だけじゃない!自分に合った方法を選ぼう

借金で首が回らなくなってしまった場合は債務整理して生活を立て直す必要があります。債務整理というと、真っ先に頭に浮かぶのが自己破産ですが戸籍に破産した事実が記載されるといった根も葉もないうわさが飛び交っていることもあり、非常に暗いイメージが付きまといます。

社会的信用を失わないためにも、債務整理などしないにこしたことはないのですが背に腹は代えられません。債務整理を考えている人は手続き方法をきちんと勉強して自分にあった債務整理を選択しましょう。

債務整理の種類とそれぞれのメリット・デメリットを知っておこう!

債務整理は大きく分けて以下の3種類があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

どれが最適の債務整理になるかは、債務の状況によって違ってきます。手続き内容と方法をしっかり把握して今の自分に最適なものを選ぶ必要があります。

任意整理のメリット

個人再生・自己破産は連帯保証人や債務者も手続きに加わってもらう必要があり、複数の人に迷惑がかかります。しかし任意整理は手続き対象となる業者を自分で選び個別で交渉することが可能で、交渉したくない、する必要のない人は外すことができます。

また、個人再生・自己破産のように裁判所への申し立ても不要なので手続きが比較的簡単に済むだけでなく、国が発行している官報に債務整理の事実がのることもありません。

任意整理のデメリット

信用情報に任意整理をした事実が記載されるため、この間はローンの借り入れやクレジットカードを作ることができません。これはいわゆる「ブラックリストにのる」という状態です。

ただし、ほかの任意整理も記載機関の違いはあれ、これは避けて通れません。

また、元金以下に減額することが難しく、個人再生・自己破産に比べると負債が多めに残ってしまうという側面もあります。

個人再生のメリット

個人再生は民事再生法にのっとって行われる債務整理方法で、債務をおよそ1/5程度に圧縮し、数年かけて分割払いしていく方法です。

個人再生の最大のメリットは、債務者が一戸建てやマンションのローンを返済中でも住宅資金特別条項の利用によって住宅ローンを債務整理の対象から外し、自宅に住み続けたまま返済していくことが可能です。

個人再生のデメリット

ほかの債務整理同様、信用情報に個人再生した事実が記載され、ローンの新規借り入れや、クレジットカードを作ることが不可能になります。また、住宅ローン以外の負債はすべての債権者が対象になりますので、個人再生の事実を親族や勤め先など身近な人に知られることになり、それが原因で退職を余儀なくされたり、人間関係に悪影響が出ることも考えられらます。

自己破産手続きのメリット

自己破産手続は裁判所に申し立てを行い、債務を免除してもらう方法です。破産法という法律にのっとって行われます。

任意整理・個人再生は数年かけて債務を支払い続けなければなりませんが、自己破産は債務の一切が免除されるので債務がゼロになります。手続きが終われば生活が一番早く楽になり、それだけ早く生活を立て直すことが可能です。

自己破産手続きのデメリット

信用情報に自己破産の事実が記載されるのはほかの債務整理方法と同様ですが、記載期間が3種類の中で一番長く、およそ10年は記録から消えません。任意整理は5年くらいです。

また、国が発行している官報にも自己破産の事実が記載されます。官報は政府や省庁の決定事項や会社法による決定事項が掲載されています。

これに自己破産した人の住所・氏名、手続きをした日、手続きをした裁判所が記載されるのですが、官報を見るのは信用情報期間、市区町村の税務担当社など限られた人だけなので、生活に影響はほとんどありません。

ただし、闇金業者は官報を見てブラックリストに載った人をターゲットに違法な貸付をすることがありますので、注意が必要です。

また、自己破産すると一定期間就けない職業があります。警備員、生命保険の勧誘、古物商(ディスカウントストアの責任者など)、宅地建物取引士として働くことはできません。ただ、制限期間は3か月~6か月と意外と短いのでこちらもそれほど生活に影響がでることはなさそうです。

さらに自己破産の手続き中は勝手に住所を移動することが認められません。郵便物は管財人が中を確認するため一度あけられた状態で送られてくることもあります。

債務整理は意外とお金がかかる!費用はどれくらい?

債務整理にかかる費用は以下のようになります。

任意整理の費用

着手金…2万円~5万円(1社ごとにかかる費用)
報酬金…2万円~5万円(1社ごとにかかる費用)
減額報酬…減額した金額の1割~2割

自己破産の相場費用

着手金…同時廃止事件の場合:30万円/管財事件の場合:40万円
報酬金…10万円
申立手数料…1,500円
予納郵券代…4,100円(205円×8枚・82円×29枚・10円×6枚・2円×11枚)※裁判所により異なる
予納金…同時廃止の場合:11,712円/同時廃止の場合:最低20万円(管財人報酬に充てられる)

自己破産の手続きは管財人として弁護士が選任されます。

その報酬として20万円~30万円はどうしても必要になります。

しかし、破産者の場合はこの費用が用意できないことも多く、その場合は管財人による調査などをせずに手続きする「同時廃止」の手続きを行うこともあります。

ただし、ギャンブルなど免責が認められない負債がある場合は管財人の調査を必要とするため、同時廃止手続きができないケースもあります。

債務整理に必要な書類をしっかり把握しておこう!

債務整理には様々な書類が必要になります。手続き方法によって必要ないものもありますが、かなりの量になります。

取り寄せに時間がかかる場合もあるので、早めに準備しておきましょう。

  • 給与明細(直近2~3ヶ月分)
  • 賞与明細(直近1年分)
  • 源泉徴収票(直近1〜2年分)
  • (非)課税証明書(直近1〜2年分)
  • 確定申告資料(直近1〜2年分)
  • 退職金に関する資料
  • 保有している銀行口座全ての利用履歴(直近2年分)
  • 保険に関する資料(保険証券、解約返戻金計算書など)
  • 自動車に関する資料(車検証、査定書など)
  • 不動産に関する資料(登記簿謄本、固定資産税証明書、査定書など)
  • 賃貸借契約書
  • その他購入か売却価格が20万円以上の財産資料(査定書など)
  • 家計簿(1〜3ヶ月分)や、公共料金の領収書など
  • 株やFXなどの投資をしている場合はその資料

弁護士と司法書士、債務整理を頼むならどちらがいいの?

債務整理ができるのは弁護士か司法書士ですが、まずは両者の違いを知っておきましょう。

弁護士は依頼人の利益を守るため、依頼人に法的アドバイスをし、裁判などに発展した場合は代理人として交渉する権限を持っています。これに対し司法書士は不動産や会社の登記を行うのが主な仕事になります。

債務整理の場合でみると、弁護士は債務の金額に関係なく、法的手続や依頼者の代理人として債務者と交渉したり、必要であれば訴訟ができます。

一方、司法書士が交渉、訴訟ができるのは、債務の額が140万円以下までと定められています。

これを知らずに司法書士に依頼して、裁判を自力で行はなくてはならなったり、想定していたより低い金額で債務先と和解せざるを得なくなったケースもあります。

債務金額が多く、自己破産のように手続きが煩雑になる場合は弁護士に依頼したほうがよさそうです。とはいえ、まずは債務整理などせずに生活できるようにお金を計画的に使う習慣を日頃から身に着けておくようにしましょう。